地価上昇率全国一とワースト10

昨年9月に発表された都道府県地価調査で、無名の田舎町が住宅地地価上昇全国一になったということで、各メディアでいろいろ取り上げられました。
随分時間が経っていますが、ネットで入手できる記事をいくつか見てみます。

「日本一の地価上昇率 北海道・倶知安町 豪州人が魅力発掘」
[東京新聞:2006年10月7日]
※東京新聞サイトではリンク切れ。こちらで転載されている記事が読めます。

「オーストラリア人に乗っ取られた 北海道のリゾート町」
[J-CASTニュース:2006年9月19日]

「ルポ 地価上昇率1位の町、北海道・倶知安町を這い歩く」
[週刊朝日:2006年10月6日]

内容的には大体、帰省したときに周囲から聞く話と同じですね。
ざっとまとめてみると、

   ◇◇◇

地価上昇率全国一になったのは、オーストラリア人スキー客向けのコンドミニアムの建設ラッシュが要因。

オーストラリア人が倶知安(ニセコのスキー場)に来るようになったのは、ロス・フィンドレーさん(オーストラリア出身)が十数年前にニセコに住んだことが始まりで、次第に口コミで、ニセコの雪の良さが広まった。
例年200~300人程度だったオーストラリア人スキー客は、2005年度には8000人を超え、今年は1万の大台を突破しそうな勢い。彼らは1週間以上の長期滞在が基本なので、延べ人数では67,000人(2005年度)にもなる。

一方で、倶知安町全体にその波及効果は広がっておらず、JR倶知安駅に近い商業地の地価下落率は全国ワースト10(地方圏)で、シャッターの下りたままの店舗も少なくない状況。

また、『言葉が通じないから外国人客は面倒という人や、「いつまでブームが続くのか」と懐疑的な空気もある。そもそも「山」「町」と分けて呼ぶ習慣が町にはあり、それが、ある種の冷ややかさの土壌になっているようだ』(東京新聞)というように、スキー場周辺のペンション街とは車で15分程の距離にある中心市街地では、スキー場界わいとは反応に温度差がある。

   ◇◇◇

興味深いのは、今のニセコブームがロス・フィンドレーさんというひとりの口コミから広まっているということ。

単に口コミだけではなく、フィンドレーさんはNACという会社を興して、ラフティングなどのアウトドア体験の拠点をつくっていたから、そこに人が集まったということはあるかもしれないけれど、旅行会社なんかの大規模な開発やキャンペーンによってではないというところがポイントで、単純にニセコの自然や気候や立地といった「昔から変わらない資源」が評価されているところが、新しい施設だけに頼った一過性のリゾートブームとはすこし違うのではないかと思います。

今のような大ブームには必ず終わりが来るけれど、忘れ去られるようなことはない、という気がします。
(それはこれからの取り組みにもよりますが・・・)

商店街の地価下落率ワースト10というのは、おそらく駅前通りにあったダイエーが閉店したことによる下落だと思いますが、それを押し留めるほどのパワーというか、市街地への影響を、今のところ「山」のブームは持っていないということは言えるかと思います。

ただ、全国的に、国際的にこの町がこれだけ注目を集めるということは、まだあと90年以上ある今世紀の中でも最初で最後だとも言えると思うので、このチャンスを上手く使って市街地の活性化にもつなげられるといいのですが・・・。

ブームで人があふれているから売れる、というのはもう20年以上前の話で、「近くに人だかりができてるけどうちはさっぱり」という『待ち』の姿勢ではなく、そこから『ぶんどる』ぐらいのアグレッシブな態度が必要なんでしょうが、経営体力とか、後継者問題とか、全体的な今の商店街の消極的なムードとか、そうなれない理由はいっぱいあって、理想論を掲げたところで・・・というのもわかるので、いざどうしたらいいのかというのは難しいところです。


■■■関連リンク■■■
 ○平成18年都道府県地価調査の結果
  ―表6の2が住宅地上昇率、表7の2が商業地下落率ランキング
 ○ロス・フィンドレーさんの紹介
  ―国土交通省の選定した観光カリスマ百選のページ
 ○NAC(niseko adventure center)のサイト
  ―ニセコのラフティング体験事業のパイオニア的存在

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FMニセコ(コミュニティFM)

オーストラリア人スキーヤー殺到して勢いがあるからでしょうか、(実際、山の麓の市街地はあまり恩恵を受けていないようですが・・・)倶知安の町に、このクラス(人口1万6千人)の町としては道内初のコミュニティFM『FMニセコ』が2006年12月18日に開局しました。

主な視聴エリアは倶知安町のようですが、サービスエリア内人口が3万7千人となっているので、(電波の受信条件によりますが)羊蹄山麓一帯が聞けるのではないかと思います。

放送スタジオは、倶知安の駅前通に面していて、スタジオの様子は通りから窓越しに見られます。
(『ズームイン朝』のスタジオみたいな感じ)

正月に帰省したときにちょっと車で聞く機会があったのですが、小さなFMだから素人っぽいつくりなのかなという事前の予想を覆して、かなりちゃんとしたFM番組でした。それでいて超ローカルネタなところのギャップが面白い。僕が聞いた最初のフレーズは

「大山食品の豆腐が○○円」

という、地域の奥様向け情報のコーナーかなにかで、その後で聞いたバイリンガルのパーソナリティの番組でゲストに来ていたのは、僕の幼馴染の妹さん夫婦でした。

このバイリンガルのパーソナリティ・ミミさんの番組(Innocent Coffee)にゲスト出演した沙羅さん(ニュージーランド出身、倶知安町内で英語教室をしている)のビデオをネットで見つけました。スタジオや番組の様子がわかります。パーソナリティが自分で音響も担当していて結構大変そうです。

しかし、せっかくいいメディアが町にできたのに、山に設置したアンテナの高さが低くてスタジオのある市街地で電波が受信できないという事態になっているらしく、屋内で電波を受信できるのは倶知安の中でもまだ限られた地域だけのようです。
アンテナの改良についてはすでに手を打っているようですが、許認可に時間がかかるので、駅前通りでFMニセコが聞けるのはまだしばらく先のようです。(カーラジオでは駅前あたりでも結構聞けました)

■■■アイデアという名の妄想■■■
以前、といっても10年以上前、駅前通りでは「倶知安放声社」というところが広告放送を流していました。
歩いていると耳に入ってくるので、「木村回生堂」とか、「カネココバヤシ」とか、いつのまにか店の名前を覚えてしまうので、結構広告効果はあるのではないかと思います。(最近では、駅前通の人通りも少なくなっているので以前ほどではないでしょうが)
早く視聴できるようになって、駅前通りにくるとFMが流れているようになるといいですね。

道路交通法的にOKかどうかがネックですが、歩道にベンチを出して、喫茶店がテイクアウト用の飲み物やスナックのメニューを提供すれば、天気のいい日にラジオを聴きながら買い物帰りに一服なんてことが気軽にできて、商店街への人の滞留が生まれたりするのではないかと思います。

あと、地元の中学とか高校の放送部の人たちに番組内のコーナーを持ってもらって、学校のこととか、最近興味のあることなんかをリポートしてもらうのも、コミュニティ放送っぽくていいかもしれません。昼の時間帯にそのコーナーを持ってくると(この場合は録音放送になるけど)、学校の昼休みに教室でFMニセコが流れているなんてこともしてもらえるかもしれません。

逆に、FMニセコのスタジオのロビーを学生や市民教室の絵とか、写真とか、工芸の展覧会の会場にしてもらって、スタジオが町民のサロンのようになるというのもいいんじゃないか、と妄想を膨らませてみたりします。

■■■参考情報■■■
日本コミュニティ放送協会(JBCA)のHPを見ると、全国には200くらいのコミュニティFMがありますが、町村をエリアとするのはその中でも10局に満たないくらいです。
避暑地で有名な長野県軽井沢町、白浜温泉のある和歌山県白浜町、まちづくり活動が盛んな熊本県小国町などが町村コミュニティFMの代表でしょうか。
(FMニセコはJBCAに加入していないのか、新設なので反映されていないのか、コミュニティFM一覧に名前がでていません)

■■■関連リンク■■■
○FMニセコホームページ
○Innocent Coffeeにゲスト出演していた沙羅さんのブログ
 ―沙羅さんは、英語学習教材「The Daily English Show」(数分のビデオ+英語台本)を毎日アップしています。僕、全然ヒアリングできませんでした…このビデオで勉強しなければ・・・。

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倶知安は今、どうなってるの?

オーストラリア人スキー客で賑わい、地価上昇率は全国1位。商店街は空き店舗が目立つけど、若い人が新しく始めた店もあって、町を去る人もいるけど、わざわざ移住してくる人もいる。

倶知安町を離れてから15年。
その間に自分の知らないことがいろいろ起きて、倶知安は帰省するたびに変わっています。
それを見て(特に町中でオーストラリア人をたくさん見かけるようになって)、大学で地域計画とか観光の研究をしている自分が、自分の立場とか知識とかを、何か使えないか・・・と思うようになってきました。

とはいえ、何ができるのかはまだわからないのだけど、まずは、倶知安で何が起きているのかを整理してみよう。

住んでいる人でも知らないことは色々あるだろうし、すべてを把握している人がいない「情報の整理」をすることも研究者がすべき基本的な役割のひとつなのではないかと思ったりします。

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